健康

フルオーガニックは農園そのものを発酵させる農法

こんにちは。オーシャンレモンです。
私たちは神奈川県小田原市の海の見える農園でレモンをフルオーガニック栽培しています。

フルオーガニックとは私たちが作った造語で(商標出願して確認しました)以下の定義に当てはまることを指します。

【いかなる農薬も不使用】【化学肥料不使用】【動物性の堆肥・有機肥料不使用】【除草剤不使用】【防腐剤不使用】【遺伝子は組み換えられていない】【成果物からセシウム不検出】

この条件のもと、1,500坪ほどの敷地で約100本のリスボンという品種のレモンを育てています。

ここで書かれていることは農業に興味ない人にはまったく入らない内容です。
丁寧に書いたつもりですが、マニアックな内容なので無理して読まないでくださいね、

★みんなが食べてる野菜

私たちのフルオーガニック農法を説明する前に、今皆さんを取り巻いている日本の農業をざっくりと説明します。

スーパーや八百屋さんに並んでいる野菜や果物は、窒素、リン、カリウムをベースに化学的に肥料デザインを行い、計画的に同じものを大量に栽培する近代農法の産物です。
化学肥料の原料は石油などで100%輸入に頼っています。
有機肥料よりも安価で軽くて作業効率が抜群に良く、収穫量もダントツに優れています。
今のお値段で野菜が買えているのは化学肥料のおかげです。

有機肥料も危ない?

有機野菜だから安全なわけではありません。

有機野菜で使われる有機肥料は、高価で重たくて生産者に経済的、身体的に多くの負担をかけます。
匂いもありますよね。
収穫量も化学肥料に比べると低く、野菜の色・形・見た目も不安定です。
そして有機肥料の原料となっているのは家畜の糞尿です。
家畜は牛、豚、鶏です。彼らが食べているのはほとんど輸入の配合飼料です。
どこかの国で作られた家畜用の配合飼料。
遺伝子組み換え、化学肥料・農薬、立ち枯らすための収穫直前の除草剤、収穫後の防カビ防虫剤...。
更に家畜が密集した中で発病しないように抗生物質、1日でも早く出荷できるように成長ホルモン剤...。
それらで作ったのが有機肥料です。

★農薬ってなんで撒くの?

化学肥料にしろ有機肥料にしろ肥料を使えば虫が集まり、虫を殺すために農薬を撒くということになります。
農薬を撒いたら地中の虫や微生物もいなくなり、土が痩せて肥料がたくさん必要になります。
そういう悪循環です。
農薬は非常に高価です。農家だって決して使いたくて使っている訳ではありません(と思います)。

★ほんとうに危険な除草剤

そして除草剤の問題。
雑草は近代農業の敵です。せっかく撒いた肥料の栄養をかすめ取り、生産物の成長を邪魔します。生産管理においても邪魔なだけで、草の生える暑い時期に農家は屈んで除草しなければなりません。
そんな苦労を無くしたのが除草剤です。
この薬により多くの農家が救われました。
そして地球が悲鳴をあげています。

誤解しないでいただきたいのは、肥料や農薬や除草剤の問題を生産者に押し付けるのは筋違いだということです。
これらを使わなければ野菜や果物やお肉の価格は暴騰します。
食べ物の取り合いで暴動が起こるかもしれません。
いずれにしろ外国からの輸入に命を預けることになります。

フルオーガニックってなに?

私たちのレモン農園に話を戻します。
私たちは一切ケミカルを農園に持ち込まないでレモンを栽培しています。
自然栽培、自然農法といわれるものに近いのですが、人によっては鶏糞OKだったり曖昧なので、私たちは「フルオーガニック」と名付けました。
フルオーガニックは完全な自然のままに、そこにいるたくさんの生物の力を借りて育てる生物多様性を前提とした農法です。

耕さず肥料も農薬もまかないでほったらかしにしてるだけでしょ?
ラクで良いね

なんて言われます。

肥料が与えられないという事は、そこにあるものでレモンは花を咲かせ結実しなければなりません。
太陽、雨、空気、様々な雑草。
ではどのようにしてレモンができるのでしょうか。

★ちょっと理科の話

中学校で習ったかもしれませんが、自然は自然に戻ろうとする力があります。
遷移(せんい)」と言います。
東京の大都会も人間がいなくなれば20年で自然に還ると言われています。
強力な力です。

全国で問題になっている耕作放棄地。これも遷移の過程です。
一見、自然を放置することで次第に種の多様性が高くなり、生物群集が豊かになると考えがちですが実はそうではありません。

最近の研究
遷移の最初の段階では生長の早い種が優占し、リター(有機物の層)の分解が促進されて窒素循環が早くなり、生態系の生産が上がる。
遷移が進むと次第に生長が遅く葉に多くの防御物質を含む植物が優占し土壌微生物の分解速度は抑えられ、窒素循環が滞り生産性が遅くなる。

というのを発見しました。

つまり、
大きな木が多くなると有機物の分解(発酵)スピードが遅くなり、逆に遷移を分断すると有機物の分解(発酵)スピードが上がり窒素が循環していく(栄養が実になる)というのです。

どうやったら自然の窒素を逃さずレモンに取り込めるのかをずーっと考えていたので、大きなヒントになりました。

★撹乱(かくらん)!

ではどうやったら遷移を分断できるのか?
自然界でいうと、台風とか山火事とか倒木などの突発的な破壊が主です。
今までのルールが破壊されて、素早い新しい生物が入ってくる。
このことを「撹乱(かくらん)」と言います。

どうやったら人為的に撹乱を起こせるのか?

その手段が、草刈りだったんです。

攪乱(草刈り)を起こし遷移の調整(有機物の分解スピードを上げ窒素を早く循環させる)を行う。
これがフルオーガニック栽培の核心だと気づきました。

「人為的に攪乱を起こすことで土壌微生物の窒素循環パフォーマンスを最大限に高める」

★さらなる発見

開拓の時から草は敵だと思い、草刈り作業では根こそぎ刈っていました。
作業後はさっぱりきれいになり、掃除の後のように気持ちよく感じていました。
ある日気付きました。
農園にはたくさんの小さな虫が暮らしています。草がなくなってしまうと住処がなくなり彼らもどこかに行ってしまいます。
草を膝丈くらいまで残してあげると、多くの虫が集まって繁殖し、それを目当てに爬虫類が現れ、小動物やイノシシまで暮らすようになりました。

どうやら昆虫にとってもボーボーな荒れ地より風が通り陽が入るくらいの草丈が心地良いようで、瞬く間に農園はビビットな生命感で満ち溢れるようになりました。

多種かつ大量の生命がここで一生を過ごし、朽ち果て、微生物に分解され、やがてレモンに繋がります。

土壌微生物の窒素循環パフォーマンスと地上生物の食物連鎖の活性パフォーマンスを最大化させる草刈りの頻度、刈る草の長さ、刈る草の種類を見極めること。

命のゆりかごを整え、農園丸ごとを発酵させる、という考えに達した瞬間でした。

★上から生物、下から微生物

これで私たちのレモンが出来上がっています。
これに気付いた時はノーベル賞ものだと思いました。

それではまとめになります。

ということになります。

この方法でどこまで収穫量が上げられるか、わたしたちも楽しみに農作業を行っています。
私たちのレモンを使ったプロダクトもぜひご覧くださいね。

 

最後に一言。冒頭にあったように「農薬も肥料もまかないラクな農業」と思われがちですが、クスリを使わない農業は控えめに言ってなかなかの地獄ですよー。ラクだったらみんなやっているはず。この辺の苦労話はまたどこかで!

ABOUT ME
Ocean Lemon
身体をリペア(修復)する食べ物として、ケミカルを一切含まないフルオーガニックのレモンを小田原で栽培し、タイガの森から生はちみつを輸入しています。家族全員のQOLを上げるリペアフードブランドです。